新卒で「くすのき」に入職して4年目になります。
もともと岡山の大学で教育学を専攻していました。在学時に特別支援学校でアルバイトしていたことが、障がい者福祉に携わるきっかけです。知的な障がいを持った人たちになにかものを伝える際は、話し方、言葉の選び方に気をつけています。
私たちが普段使う言葉は、彼らには受け取り方が難しいことがあります。特にカタカナ言葉は苦手な人が多いので、伝える際には別の言葉に言い換えたり、ゆっくりと分かるまで説明することが必要です。
それでも、知的な障がいを持った人たちは複雑な言葉を理解したり作業をこなすことが難しいということに目が向きがちですが、できることもたくさんあるんです。できるところを認めて、一人ひとりを尊重することが、彼らとの良い信頼関係を結ぶことにつながると思います。
「くすのき」では、知的な障がいを持った人たちが社会に出たときに困らないよう職業訓練をしたり、みんなで楽しく旅行をしたり、コミュニケーションをとるために様々なイベントなどを行っています。
また普段のやり取りの中で、褒めることはもちろんですが、時に厳しく接することも必要だと考えています。
私の職場にこんな先輩がいます。その人は、人の顔色を必要以上にうかがうこともなく、機嫌をとることもなく、見方によっては厳しく冷たい人に見られるかもしれません。しかし「くすのき」に通う皆はその先輩のことが大好きなようです。きっと先輩が「ただ厳しいだけではない」ということが伝わっているのだと思います。
入職する前は、支援員にはどちらかと言うと、先輩のような性格とは逆の姿勢を求められると思っていました。しかし私たちが彼らのためにしなくてはいけないことは、明るく笑顔で接することと同じように、愛を持った厳しさで彼らと向き合うこと。なんでも許して、なんでも楽しく、では本当の自立にはつながりません。
学生時代と比べると、彼ら一人ひとりの生活の一部を預かっていて、時には厳しい目を持って指導することも必要だと、より責任感が増しました。
私たちは、知的な障害を持った人たちがただできない作業をできるようにサポートするだけではなく、彼らが自発的に行動し、意味を持って何かをするよう促すことが必要です。そのためには、見守り、声をかけ続けること、アイデアを出して工夫する力も求められます。
相手の立場に立って、「こうしたら楽しく取り組んでくれるのではないか」と考えることは簡単なことではありませんが、自分なりに考えた案が彼らに受け入れられ、できなかったことができるようになった場面を目の当たりにすると、本人以上に私が声を上げて喜んでしまうことも。
作業がひと段落したお昼休みに、プレイルームに集まって彼らとくつろいでいる時が、今一番楽しいと感じる瞬間です。
私は、彼らを元気にしたいと思いながらも、いつも元気をもらっています。楽しい時には笑い、悲しい時には涙を流し、素直に表現する彼らの生き方に教えられることもしばしばです。たくさんの笑顔に溢れた「くすのき」で、あなたの入職をお待ちしています。